校舎について

円型校舎建築の背景

絵鞆小学校の円型校舎は、1棟が昭和33年に、もう1棟が昭和35年に建設されました。
昭和30年代の日本は戦後の復興期にあたり、ベビーブームによる子どもの数の増加や、戦争中の焼失により全国的に学校が不足していました。

絵鞆小学校も例外ではなく、学校の沿革史には昭和31年には教室の不足により圧縮授業が行われたり、32年には校長室も教室として使われていたという記述があります。

このような状況の中で、円型校舎の利点をマスメディアを通じて訴え、日本全国で多くの円型校舎を建造したのが建築家の坂本鹿名夫氏です。絵鞆小学校も坂本氏の設計によるものです。

1. 安く建設することができる。
2. 円型校舎は、四角い校舎に比べて建築面積が小さくなるので、建築材料を節約したり建築総工費を安くおさえることができる。
3. 狭い場所に造ることができる。
4. 円という形の性質上、せまい敷地にたくさんの部屋を持った建物を建設することができる。
5. 強い構造をしている。
6. 円型という形は安定しているため、地震や風圧に対して有利な構造です。そのため、地震や台風の発生が多い日本ではこの形が重宝された。
7. 部屋同士を近くに造ることができる。
8. 長い廊下を造る必要がないので、教室同士の行き来がしやすく、また水道の配管や電気の配線なども短くすることができる。
9. 教室内で子どもの様子が見やすい。
10. 各教室が扇型に配置されるので、教壇から教室全体をよく見渡すことができる。
11. 日当たりがよい。
12. 円型校舎は四角い校舎に比べて日陰が少なく、多くの日照を確保することができる。
13. 風通しがよい。
14. 円型校舎では、360度どの方向にも窓があるので、風通しがよい。
15. 音がよく聞こえる。
16. 扇型の各教室では、教室の前後の長さが短く、横の壁に反射した音はまんべんなく奥まで届くので、音がよく聞こえる。
17. 掲示板・補助黒板・本棚などを置きやすい。
18. 扇型の教室では、横の壁面に掲示板や補助黒板・本棚などを置きやすく、自学学習の環境づくりがしやすい。
19. 予算処置へ対応しやすい。

円型校舎は、全国では約100棟ほど建設され、そのうちのほとんどは、絵鞆小と同じ時期の昭和28年〜昭和41年にかけて建築されました。

北海道内では、１１の円型校舎が確認されており、そのうちの８つまでもを坂本鹿名夫氏によるものです。

参考）絵鞆小学校公式ホームページ　・・・制作者の愛情が伝わってきます
　　　絵鞆小学校（Local wiki）　   ・・・写真多く、愛情深く、おススメです