保存活用へ向けて

それでは、保存活用へ向けて具体的にどのようなことが必要でしょうか。

ラボでは、活用ビジョンと建築物の保存対策(耐震対策含む)の2つが必要と考えます。

1.活用ビジョン

絵鞆小学校とその界隈の道の駅みたらエリアの人口流動を100万人-200万人以上の規模に

これは、これからの室蘭市のマネジメントにとってもとても大切なことです。
登別で年間250万人来ているのですから、目指すことは難しくないでしょう。
そのためにどうするのがいいのでしょうか。
いま、室蘭市にその絵は描けているのでしょうか。
みたらエリアを観光地へという声は、さまざまなところからも聞こえてきますが、ラボでもここがとても重要だと考えます。
街の人口、工業に頼りきってきた室蘭市の人材、能力は別途分析することにし、ここでは、例としての構想を挙げてみます。

2016年、むろらん100年では旧三菱建屋101年祭で、ワークショップを行いました。
そのときに、市民から出たアイデアをここに挙げていきます。
ここではぜひ、室蘭の人口対策、絵鞆小学校の活用ということに焦点を当てて、ご覧になってください。

総合的に考える必要がありますが、特に、絵鞆小学校、みたら界隈について、最後の案を見ていただけると良いかと思います。

 

2.建造物の保存対策(耐震対策含む)

ここでは、最もベーシックな見方で円形校舎の構造を考えてみます。

すべての建物には、固有の振動に対する周波数があります。
矢印の長さが主な固有周波数になるはずです。
耐震は、材質による強度に加え、この固有周波数を計算に入れるのではないでしょうか。

ここは、専門の方に、ぜひ教えていただきたいところです。

耐震がクリアできている右側の棟は、均等な円筒型ですが、耐震がクリアできていないと考えられている(明快な結果がわからない・診断していない可能性もある)左側の棟は3F部分の直径が長いため、その分、力学的には弱いと思われます。もし、右の棟のような構造であれば、より強くなる可能性があります。

ですから、単純には、3Fの直径がはみ出る部分を支える構造を別途考えるということが推測されます。

ラボでは、これからここをじっくり考えていきたいと思います。

 

3.そして、もう1つ。グラウンドの活用

グラウンドは、校舎を活用するためにとても重要です。
現在、グラウンドは体育協会の管理下で、少年野球などに活用されています。
先にも書きましたが、

①閉校した小学校なのに、校舎内から見ると、学校が生きているかのような情緒効果があります。

②また、縄文遺跡の発掘調査には、グラウンドのスペースは不可欠です。
③観光、ミュージアムの活用を考えても、とても大切な駐車場としての価値があります。
④避難場所としての価値もあります。
⑤さらに、美観です。
関氏の写真を見ていただけるとわかるように、もしこのグラウンドが無くなったら、どんな景観になるでしょうか。

ぜひ、お考えいただければと思います。

グラウンドを宅地化するという声が聞こえてきます。

市の土地をいかに活用するか、というのは、大切なことです。

これまで、民家になった閉校の学校の土地も多く、そういった流れはこれからも続くのかもしれません。しかし、もし、グラウンドを宅地化した場合、宅地に埋もれた円形校舎になった状況を想像してみてください。

この写真のような美しい風景はもうなくなるでしょう。

土日には校舎内から少年野球の子どもたちを見て、声を聞くこともできなくなります。

もし、みたらの流動人口が増大して、いまの50万人から、100-300万人(登別は350万人)になったとすると、円形に展望できるこのロケーションは抜群で、重要な観光スポットになるはずです。

このビジョンについて、私たちはよく考えなければなりません。

住宅が10件-20件建つことで、固定資産は入るでしょう。
建設の仕事も出るでしょう。

しかし、さまざまな価値が交差する小学校の風情は大きく減ることは間違いないでしょう。
せっかくの観光バス、訪問する車の乗り入れができる場所もなくなります。

絵画のキャンバスの空白には意味がありますが、その空白を埋めるようなものです。

絵鞆小学校を含めたみたら地区の観光としての再開発は、「8万人台しかいない室蘭市の人口」が、毎月110名程の割合で減り続けていることを考えると、とても重要です。

祝津町と街への流動人口による収入効果と、このスペースの宅地による固定資産税のどちらが良いか。
絵鞆小学校を魅力的な場にし、流動人口拡大による土地の活用のほうが、市の未来にとってメリットがあるとは考えられないでしょうか。

建設だけではありません。小売りの販売などの仕事も増えます。地価の上昇にも影響します。道の駅みたら周辺の土地活用は、建設にとっても重要でしょう。土地はグラウンドより大きいです。


むろらん100年のワークショップでも、この話題は出ており、そちらのページもぜひご覧ください。

この流動人口を後押しするのは、北海道遺産日本遺産世界遺産などです。(クリックを)
21世紀型の流動人口を想定した地域の活用にとってとても重要な考え方です。

私たちは、空き地があれば建てるという発想から、そういったことも含めてどのように土地を活用するのが良いのか、真剣に考えるべきときに来ています。

少なくとも、絵鞆小学校の2棟保存を考えるとき、このスペースへの考えはとても重要であり、いまこそ真剣に考える必要があとラボでは考えます。

>>続きはビジョンラボへ!

 

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