観光の時代、人口定住を促進し、人口増加につなげる時代にあって、街の価値のベースは、歴史と文化。これは最も重要な「信用の根拠」です。
では、室蘭エリアの遺産とは何でしょうか。
写真は、昨年作成された国土交通省のインバウンド冊子、日本商工会議所の北海道開拓の足跡めぐりです。この中では、縄文-アイヌ-開拓期-明治産業革命遺産 といった流れで、北海道の歴史を学び、示唆を得る全く新しい観光です。
ネットで個別行動をするいまの時代に合った流れですが、ツアーもあります。
ここで市民遺産とは、その地にある価値を編集することと考えます。
編集することで、魅力が増幅し、人が集まる引力が働きます。
流動人口が増えることで、インフラ、商売など、持続可能な暮らしを支える基礎が出来、この地にしかない価値を発信することで、魅力が高まります。
室蘭には、縄文-アイヌ-開拓期-明治産業革命遺産がすべてあります。
少なくとも、絵鞆小学校には、4つのうちの2つあります。さらに、人の感情を動かすエモーショナルな価値。建築的な価値など、さまざまな価値がクロスする絵鞆小学校はとても価値があると思われます。
グローバル時代に重要な魅力が北海道、そして室蘭にあるのです。
参考リンク:北海道の歴史文化を巡る旅(日本語版:国土交通省北海道開発建設部 2016)
北海道の歴史文化を巡る旅(英語版:国土交通省北海道開発建設部 2016)
まるごと体験北海道開拓の足跡巡り(商工会議所)
「北海道の歴史文化を巡る旅」の1ページ目を開いてみましょう。
そして、これが日本の北海道が世界に向けて発信する歴史文化です。
時間スケールを拡大してみることが如何に大切かがわかります。
少なくとも、国と道庁はこの目線です。
そして、私たちむろらん100年・絵鞆小学校保存活用ラボもこの目線です。
さらに、このガイドツアーが日本商工会議所の動きです。
【商工会議所の地方活性:2】地域ブランドを生むハブとして をご覧ください。
まさに、これが「まるごと体験北海道開拓の足跡巡り」です。
引用しましょう。
「登別市は温泉地として名高く、知名度の高さから年間350万人もの観光客が訪れる。しかし、温泉だけで観光客の目的を終えさせてしまうのはもったいない。観光地としての魅力を高めることでさらなる誘客を図りたいといった考えから、登別商工会議所は近隣の室蘭商工会議所、伊達商工会議所と連携した。
3市が所在する地は「西胆振(にしいぶり)エリア」と呼ばれ、古代・縄文時代の貝塚に始まって、先住民族であるアイヌ人の文化が残る。仙台藩による北海道開拓、海運の要衝として北海道の産業の発展に大きく寄与するなど、土地の歴史を物語る上で重要な史跡が多く見られるエリアだ。
これらの観光資源を集約したのが、プロジェクト「まるごと体験 北海道開拓の足跡めぐり ~縄文・アイヌ文化、武士の開拓、そして今~」だ。3市をめぐる観光モデルコースを設定。そのPRを3商工会議所が共同で行なう。
「伊達市は稲作、畑作、酪農、畜産やホタテ貝の養殖をはじめとした第一次産業が盛んで、室蘭市は一大工業地帯で港湾都市として栄える第二次産業の町。そして、登別市は温泉に代表される観光サービスの第三次産業が中心となります。ですので、この3つが連携することで、将来的には産業の六次化を目指す狙いもあります」
なお、先に触れた「登別閻魔やきそば」も、3商工会議所の連携にいかされ、室蘭市のご当地グルメ「室蘭カレーラーメン」や「室蘭やきとり」、伊達市の農産物や海産物とあわせて、「地元グルメ・地元メシ」としてPRしているという。
横の連携により広域での観光PRや商品企画・マーケティングなど、商工会議所の活動はさまざまな広がりを見せている。こうした活動を自社の事業に結び付ければ、中小企業のビジネスチャンスも大きく広がるだろう。」
最後の一行。
これが、いまを生きる私たちの生活に返ってくるということです。
ただし、室蘭が二次産業ということですが、それだけでいいのですか?という質問が必要です。
それぞれの産業を活かすことがそれぞれの街で必要です。
縄文遺跡をはじめとするこの地の文化は、いまの室蘭の商工業の比重が第二次産業のウエートが大きいからといってないがしろにしていいというわけではありません。
むしろ、活かすことで第三次産業の流れを作ることもできます。
そして、ローマの遺跡のように永続的に人が流れる仕組みをつくることができるでしょう。