2014年8月10日10時10分に、旧三菱合資会社室蘭出張所前にて一般社団法人むろらん100年建造物保存活用会の発足式を行いました。
理事5名、そして、雨が降りそうな天気にも関わらず、市民15名、新聞社5社(読売・朝日・道新・室蘭民報・北海道建設新聞)の記者さんが来てくださいました。
理事5名、監査1名の簡単なご挨拶のあと、札幌から駆けつけてくださった札幌国際大学の吉岡教授、室蘭工業大学の武田助教、蘭歴建見会代表の吉田幸恵建築士、開港の地で創業105年になるヤマコしらかわ代表(NPO法人羅針盤代表)白川皓一さん、元日鋼瑞泉閣館長伏木晃さん、その他歴史的建造物に興味のある市民のみなさんにご挨拶をいただきました。
旧三菱合資会社室蘭出張所の裏のこの通りの右が山手、左が海(現在、埋め立て)でした。この坂を上がると、旧三菱社宅、そして北海道炭鉱汽船(北炭)倶楽部と社宅地があります。
北炭は、かつて空知(夕張、三笠、美唄など)炭鉱から石炭を運ぶために鉄道を敷き、室蘭もそのため北炭が海を埋め立て、現ヤマコしらかわの前に本社が建っていました。
吉岡教授は、空知で生まれ、炭鉱文化の中で育ち、現在、その歴史遺産を残すべくNPO法人炭鉱の記憶推進事業団を立ち上げ、理事長としてご活躍されています。
(空知炭鉱と吉岡教授の生い立ちについては著書「明るい炭鉱」に詳しく書かれています)
特に、3代財閥(三井・三菱・住友)が入る前に空知炭鉱を採掘していた北炭は詳しく、室蘭に北炭倶楽部が残っていることを喜んでおられました。
2年前(2012年)の9月に、むろらん100年の代表理事村田と一緒にこの建物を視察し、さっそく炭鉄港(空知・小樽・室蘭を結ぶイベント)のフィナーレイベントとして11月に旧三菱合資会社室蘭出張所とこの旧北炭倶楽部のセット見学会を行いました。そのときの参加者は、全道から約80人となり、短期間の周知にも関わらず、多数の方が来られました。
ちなみに、北炭は私鉄として鉄道を持っていましたが、国鉄化による売却を与儀なくされたとき、その売却益で、現在の日本製鋼所と輪西製鉄所(現・新日鉄住金)を建設。これが、それまで石炭の積み出しに過ぎなかった(といってもお金の動きは極めて大きかった)室蘭が、工業へ踏み出すきっかけになります。この動きを作ったのが井上角五郎です。井上氏は、福沢諭吉、後藤象二郎の門下生で、朝鮮に渡りハングルで初めての新聞を作り、諭吉の命によりサンフランシスコで農業をし、後藤の命で第一回~第四十七回帝国議会に参加。さらに朝鮮、南満州で鉄道の設立に加わった後、北炭専務となりこの建物にいました。当時、中央からVIPが多く訪れ、中には伊藤博文、韓国皇太子も居たそうです。
ここまでは北炭倶楽部でしたが、そこから5分ほどの北炭本社があった場所の目の前に立っている、今年で創業105年のヤマコしらかわ(米専門店)へ。
その斜め向かいには、室蘭港開港の地の碑があります。
このあと、ここを起点とする旧札幌通りを歩き、歴史的な建物を散策。
プリンスホテルで会食をし、発足会を終了しました。